入笠高原の小さな山小屋、ヒュッテ入笠の山口です。
7月になって大きな改編が2点。ここで発表したいと思います。
- 牛赤ワイン煮の販売終了→牛タンシチューへメニュー変更
- 客室名を8000m峰の名前からヒュッテ入笠の周辺に咲く花の名前に変更
〜山小屋の味、次の一歩〜
今日は、大切なお知らせをさせていただきます。
長年ご愛顧いただいてきた『ビーフシチュー』、そしてその後継の『牛赤ワイン煮』を、この6月をもって終了し、今後は『牛タンシチュー』をメインメニューとしてご提供していくことにいたしました。
創業から続いた、山小屋の味
私がマナスル山荘本館の経営を引き継ぎ、「ヒュッテ入笠」として新たにスタートを切ったのが2014年。その新規オープンにあたって、「ここでしか食べられないものを」と考え、看板メニューとして登場したのが『ビーフシチュー』でした。
当時はあまり使われていなかった「牛ほほ肉」を、手間ひまかけて二日間じっくり煮込んだ特製シチュー。固くて扱いの難しい部位ですが、時間をかけることで驚くほどやわらかく、深い味わいに仕上がります。
週末に向けて、平日の静かな時間にコトコト煮込む。そんな日々を重ねるうちに、いつしか「山で食べるビーフシチュー」として多くの方に知られるようになり、宿泊者の数も、シチューの注文数もどんどん増えていきました。
一時は松本市内で出荷される牛ほほ肉の大半が、うちに回ってくるほどでした。
コロナ禍と、変化の決断
しかし、コロナ禍により状況は一変します。宿泊数が大きく落ち込んだだけでなく、牛ほほ肉の生産量も激減。さらには他店からの需要も高まり、以前のように安定して仕入れることが難しくなりました。
悩んだ末に、泣く泣く牛ほほ肉の使用を断念し、代わりに牛バラ肉を使った『牛赤ワイン煮』として提供を続けることにしました。
レシピはほとんど同じ。けれど私にとって、"ビーフシチュー"とは牛ほほ肉であるという強いこだわりがありました。だからこそ、あえて名前を変え、別のメニューとして出すことにしたのです。
そのあたりの背景については、2023年11月のブログでも詳しく綴っています。
ビーフシチューやめます(11/27)
入笠高原の小さな山小屋、ヒュッテ入笠の山口です。 いきなりですが、この冬のシーズンより「ビーフシチュー」の販売をやめることにしました。冬のランチではビーフシチューの販売はありません。悩んだ末のというより、この機会を探して […]
新たな看板メニュー「牛タンシチュー」
試行錯誤のなか、季節ごとに肉の質や部位を変えながら、なんとか安定した味を目指してきました。そんな中で、今年の春から登場したのが『牛タンシチュー』です。

これが想像以上に好評をいただき、今では赤ワイン煮を上回る人気メニューとなっています。
レシピは、創業時から大切にしてきた「ビーフシチュー」の技術をそのまま活かし、赤ワインの使用量はさらに倍。とろけるような牛タンの食感と、ワインの豊かな香り。
何度もビーフシチューを召し上がってくださった常連のお客様からも「こっちのほうが好み」とのお声をいただいています。
そして、これから
7月より、牛バラ肉の『赤ワイン煮』は終了し、今後は『牛タンシチュー(単品2,200円)』をメインメニューとしてご提供いたします。
なお、今週は仕込みの都合で販売数が限られますこと、ご了承ください。
長年にわたり多くの方に愛していただいた、旧マナスル山荘本館の『ビーフシチュー』、そしてヒュッテ入笠の『牛赤ワイン煮』。
その味を支えてくださった皆さまに、心から感謝申し上げます。
そしてこれからは、「牛タンシチューの山小屋、ヒュッテ入笠」として、また新たな味の思い出を皆さまと作っていけたらと思っています。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
次回は「客室名を8000m峰の名前からヒュッテ入笠の周辺に咲く花の名前に変更」についてお話しします。